読書メモ:シンプルな戦略(★★★)
仮にも戦略を専門にしていこうと決心したので、最初の記事はこの本の読書メモにしよう。
- 作者: 山梨広一
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2014/03/14
- メディア: 単行本
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タイトルは「シンプルな戦略」となっているが、シンプル話に留まらず、「そもそも戦略とは」「意味がある戦略・ない戦略とは」「戦略をどうやって立てるか」を論じる結構本格的な著書だった。最初にコンサルやってた頃に読んでたら「あたりまえだなあ」で終わっていたかもしれないが、僅かばかりの事業会社経験を積んだ今だからこそ理解できる部分も多く、勉強になった。
そもそも戦略を生業にしているとは言っても、全然自分の中で型化されていない。いや、もちろんガチガチに型化できるはずはないんだけど、あらゆることに対してどういう思考法をとるか全く自覚がないので、好不調の波にもさらされがちなところには課題感を感じている。調子がいい時にはバシバシ斬れるけど、どの刀使ったか覚えてない、みたいな。
しかし、PARTIIで紹介されている「戦略策定の基本ステップ」にはあまり同意できず。マッキンゼーは本当にこういうステップで考えているのか?非常に積み上げ式の思考法であり、仮説思考・論点思考ではないと感じた。現時点での自分の考えとしては、「1.戦略目的の設定」が終わったら、「4.課題の抽出」をざっくりやって眺めながら、すぐに「5.戦略的方向性の創出」を仮説ベースで行い、その後に「2.境界条件の再定義」と「3.環境分析と洞察」をチェック的に検証し、以後1を除くこのサイクルを回して進化させていくというやり方がよいのではと思う。その方が境界条件にもとらわれずに発想もできるのでは。それに、特に「3.環境分析と洞察」って、課題なり打ち手なりの仮説があって初めてどういう切り口で見るべきかが出てくるのでは。マクロ環境をover allに見にいったら死ぬ。
同様に、「戦略アウトプットフォーマット」みたいなものにもあまり同意できず。いや、書き起こすこと自体はよいというかやるべきだと思うものの、このフォーマットは「基本ステップ」の各段階で考えたことの記入欄を並べているだけで、各ステップ間の有機的な繋がりが見えてくるわけでもないので、あまり工夫を感じないというか。わざわざ「フォーマット」とか言わずに、「各ステップで考えたことは言語化して残しておいた方がよい」ぐらいの主張でもよかったのではと思ったりする。
ステップの順番はさておき、個々の内容で書かれていることや、事例の話は参考になった。ステップの話にしても、いまの自分が理解できていないだけかもしれない。とりあえず、事例部分だけはいつかまた読み返そう(そこらへんは頭にあまり入っていない)。
読書メモ(抜き書きではない)
PART I:今、なぜシンプルな戦略が必要なのか
- 戦略はシンプルであるべき(=WhatもWhyも明快であるべき)
- シンプルであれば、戦略の肝やフォーカスがはっきりしている
- シンプルであれば、皆に伝えやすく、力をまとめやすい
- 戦略の三大基本要件として、最低限以下の問いに答えられる必要がある(3Cに対応)
- 顧客にとってうれしいことかどうか?
- それは他の会社と違うのか?
- 自社は儲かるのか?
- なお、それぞれについて3つぐらいの論拠が示せるとよい(Jim注:何でもかんでも3つである必然性は全くない。コンサルタントの悪いくせだと思う)
- シンプルな戦略の例
- しばしば戦略だと思われているが全然戦略とはいえないもの
- 目指す頂のみ型:「北米市場でシェア5%を目指す(が、WhyもHowもない)」
- 何でもかんでも型(Jim注:自分の経験からも、リスクをとってエッジを効かせる戦略を選ぶのは非常に度胸がいると感じる。「これに注力する!でもこれもおろそかにできないしこっちもやらないわけにはいかないから、結局全部やる」みたいなことを平気でやってしまう)
- それでどうなるの?型
- トップのリーダーシップに問題がある場合
- 戦略策定段階で総花的(リスクをとれない)※上記何でもかんでも型を経営者も回避できない
- 実行段階で徹底して実行できない(フォロー、信賞必罰、嫌われ役を買うetc.)
PART II:戦略構築の基本
- 戦略構築の基本ステップ
PART III、PARTIV:特にメモるべき箇所なし